スーパーのレジで財布を開くとき。
あるいは、スマートフォンの画面で決済ボタンを押すとき。
指先がほんの少し強張り、「またお金が減ってしまった」と胸を痛めてしまうことはないでしょうか。
通帳の残高を確認してはため息をつき
「将来が不安だから」
「もっと無駄を削らなければ」
と、自分に言い聞かせる。
外食をするときも、本当に食べたいメニューではなく、メニュー表の右端に並ぶ金額を見て「一番安いもの」で妥協する。
多くの人が、これを「堅実な節約」や「賢い生き方」だと信じています。
私もそのひとりです。生活を極限まで切り詰め、1円でも安いものを選ぶことこそが正義だと信じ込んでいました。
どれだけ支出を削っても、心の中から将来への漠然とした不安が消えることはありませんでした。
むしろ、節約を徹底すればするほど日々の暮らしは色あせ、胸の奥には冷たい欠乏感ばかりがつのっていました。
「成長」を目指すほど、人は自分の命を値切ってしまう
世間ではよく「もっと稼げる自分に成長しろ」「スキルを身につけて豊かさを引き寄せろ」と言われます。
高額なセミナーや不安をあおる情報商材が後を絶たないのも、「今の自分のままでは足りない」という焦りを刺激するからです。
かつて、私の人生の恩師は、静かにこう教えてくれました。
「人は、何者かになろうと背伸びして『成長』を目指す必要はないんよ。ただ、素直な自分へ『戻る』だけでいいんです」と。
私たちが本当の意味で豊かになれない根本的な原因は、収入の少なさでも、努力の不足でもないかもしれない。
無意識のうちに「自分自身に対してケチになっていること」にあります。
- 読みたい本があるのに、「贅沢だから」と諦める。
- 身体が求めている旬の野菜があるのに、数十円安い外国産に手を伸ばす。
- 誰かの知恵や好意に対して「タダでやってもらえないか」と甘え、相手への敬意を値切ろうとする。
これらはすべて、形を変えた「奪うエネルギー」です。
「支払うと減ってしまう」「奪わなければ損をする」という恐怖に支配されているとき
私たちの「心」と「頭」のバランスは完全に崩れてしまいます。
心を感じることをやめ、頭の計算(損得勘定)だけで生きるようになってしまうのです。
お金は、不安から身を守るための盾ではありません。
本来は、自分と大切な誰かの命を喜ばせるための「温かい循環のエネルギー」なんです。
1冊の本が教えてくれる、日々の整え方
もし今、支払うことへの恐怖や、削ることへの強迫観念に縛られているなら、高額なノウハウに救いを求めるのはやめてみる。
代わりに、街の本屋さんの棚に静かに並んでいる、先人たちの言葉に耳を傾けてみてください。
たとえば、年間300回以上の講演を全国で行い、多くの人の人生と心を解きほぐしてきた
小林正観さんの『お金と仕事の宇宙構造』という本があります。
この本の中で著者は、お金の本質は「エネルギーの循環」であり、支払うときにどんな心を乗せているかがすべてを決めるのだと優しく語りかけてくれます。
支払うときに「また減ってしまった」と眉をひそめて惜しむのではなく
「この野菜を作ってくれた人、運んでくれた人、私を助けてくれてありがとう。
いってらっしゃい」と感謝を乗せて笑顔で送り出すこと。
たったそれだけで、お金を支払う行為そのものが「奪われる苦痛」から「温かい循環の起点」へと生まれ変わります。
何万円もする高額な講座に入らなくても、街の本屋さんに並んでいる一冊の本の中に
人生の足元をどっしりと支えてくれる普遍の知恵はすべて詰まっています。
【今回ご紹介した名著】
『お金と仕事の宇宙構造』小林正観
お金に対する執着や将来の不安がふっと消え、「喜ばれるようにお金を使う生き方」がじんわりと心に染み渡る名著です。
日々の息苦しさを感じている夜に、ぜひページをめくってみてください。
※「本を買うことすら躊躇してしまう」という方は
スマホで読める電子書籍(Kindle)もおすすめです。
30日間の無料体験を使えば、お金をかけずに読むこともできます。
⇒ [Kindle Unlimitedの無料体験はこちら]
まずは食卓で、自分の命をもてなすことから
豊かさとは、通帳の桁数を競うことではなく、「今ここにあるもの」をどれだけ味わえるかという心の度合いです。
もしスーパーに買い出しに行くなら、いつもより数十円高い、本当に心が惹かれたお豆腐や果物を「ひとつだけ」カゴに入れてみませんか。
「自分の命を上機嫌にもてなすため」に、気持ちよくお金を手放してみるのです。
これまで真面目に、必死になって家計を守り、歯を食いしばってきたご自身を、まずは深く労ってください。
あなたが背負い込んできた不安の荷物は、もう半分下ろしてしまって大丈夫です。
背伸びをして誰か別の何者かになろうとしなくても、私たちはすでに、豊かに生きるためのすべてを胸の内に備えています。
深く息を吐き出して、素直な自分へ、静かに還っていく意識が重要です。